発光液NEWアクア使用マニュアル

2010年01月作成 
(2011年12月改訂)

はじめに

発光液の特性
1)基本特性
2)主成分と臭気
3)演出に使用する器材

発光液の安全性の理解
1)毒性
2)引火性
3)環境への影響
4)家具等への液付着による影響
5)衣類等への液付着による影響

発光液の流通および保管・使用上の注意

発光液の取扱い上の注意

万が一の事故の際の対処方法
1)液が眼に入ったり、皮膚に付いた場合
2)誤飲をされた場合
3)服や床に付着した場合
4)シミの除去について
5)火災の場合


はじめに

従来、我が国で市販されている発光液セットの中で、酸化液の引火点は23℃~28℃(第4類第2石油類)と低く、防火面では取扱上で特に慎重な配慮が必要でした。(蛍光液は第3石油類)

引火点・・・
揮発性の液体や固体から発生する蒸気の圧力が、周囲の空気と可燃性の混合気体をつくるまでに高まると、火を近づけることによって発火する。
このときの最低温度を引火点という。(日本大百科全書)

引火点のみで火災は発生する訳ではありませんが、石油系溶剤は引火すると爆発的に燃え広がる特性があります。
そのため、火災の危険物判定は全て引火点で分類され、いろいろな制約があります。
即ち、引火点が低いほど火災の危険性は大きいのです。

危険物 引火性液体の判別 物理化学的定義 ※注 引火点93℃以下
国連による危険物 引火点60.5℃以下
国際郵便の危険物 引火点60℃以下
労働安全衛生法 別表1-4 引火点65℃以下
航空法施行規則 引火点60℃以下
船舶運送の危険物 引火点61℃以下
消防法上の危険物
第4類 非水溶性(危険等級Ⅲ)
第2石油類  引火点21℃以上~70℃未満
第3石油類  引火点70℃以上~200℃未満

※注 発光液NEWアクアは国際法上では引火性液体ではありません

新発売の発光液NEWアクアは酸化液引火点を106℃に改良して、消防法上の引火性液体のランクを第2石油類から第3石油類に1段階下げてリスクを少なくしました。
第2石油類が第3石油類になると、貯蔵量(指定数量)が2倍に緩和される点からみても、安全性が大きく前進したのです。
そのため消防法以外では引火性液体ではなく、飛行機や船舶での輸送も可能な商品です。
又、従来の発光液と同等以上の発光力・持続力を有しており、臭気や皮膚に対する刺激感を大幅に低減して殆ど気にならないレベルにまでなりました。
新発売の発光液NEWアクアは、弊社及び国内の弊社関連工場で高い品質管理の下で製造しており、正にMADE IN JAPANとして品質を保証いたします。


発光液の特性

1)基本特性

発光液NEWアクアは、蛍光剤の入った蛍光液と、酸化剤の入った酸化液から構成されており、2液が混ざることによって化学反応で発光します。
自然界でホタルや夜光虫の発光反応を人工的に再現したものです。化学反応ですので、一旦反応が始まりましたら終了するまで止めることはできませんし、反応終了した液を再度活性化することもできません。液の温度が高ければ反応が早く進みますので発光力が強いのですが発光時間はやや短くなります。(液の温度の20℃~23℃位が最も効率よく発光します)
発光する強さは、化学反応のため電球のように一定ではありません。蛍光液と酸化液(1:1で使用)を混合させた瞬間が一番強く発光し、時間と共にごくわずかずつ弱くなります。そこで、弊社では発光目安時間と呼んでいます。演出に適した目安時間は、単色で2時間・チェンジカラーで1.5時間です。
化学反応の際に熱は発生しません。
蛍光液は光と湿気に非常に弱く、数日間明るいところに放置されたり、周囲の湿気が高いと数時間外気にさらされているだけでも発光しなくなることがあります。
また、蛍光液,酸化液共に鉄分等の酸化しやすい物質に影響されやすく、粉塵などにもこれらの物質が含まれていますので、汚れた容器などに液を入れておきますと発光しなくなります。一方、洗った容器でも水滴が残っている容器を使用しますと発光しなくなります。
発光液は、電気等の照明では得られない神秘的な光を発し、演出素材として魅力がありますが、このように取扱いにいろいろと制約がある素材でもあります。

2)主成分と臭気

今回開発した発光液NEWアクアは従来の発光液と同等以上の発光力・持続力を有しています。
臭気や皮膚に関する刺激性は大幅に低減されて、殆ど気にならないレベルにまでなりました。

  蛍光液 酸化液
成分 クエン酸エステル
安息香酸エステル
オキサラート
蛍光物質
クエン酸エステル
安息香酸エステル
エーテル類
過酸化水素

3)演出に使用する器材

発光液を入れる容器には基本的にガラス・陶器・ステンレス以外は使用しないでください。
プラスチック類の容器を使用される場合は、1回だけの使い捨てになりますのでご注意ください。(液に触れた部分が着色したり、溶けたり、クラックが入ったりします)


発光液の安全性の理解

広辞苑によると、安全とは「安らかで危険の無い事」とあります。しかし、世の中には合成物質でも、天然の物質でも「100%安全な物質」という物は存在しません。
重要なことは、その物質の特性を知り、どういう使い方をすれば安全で、どういう使い方をすると危険かをお客様を始め関係者の方々にご理解して頂きたくお願い申し上げます。

1)毒性

どのような物質でも、摂取する量が増えて行けば、人体に何らかの影響がみられるようになります。
日常私達が食べたり飲んだりしている砂糖・塩・しょうゆ・酒などでも多量に投与する動物実験を行えば、何らかの影響が観察され、場合によっては致死量にも達します。
どんな物質もそれぞれ「安全に使用できる量」があるのです。私達も発光液の誤飲による危険性を調べるためにラットへの投与実験を行ってもらっています。
下図に照らし合わせてみますと、市販のシャンプーと同程度の毒性があるとご理解頂けると思います。なお、発光液には「有害物質を含有する家庭用品規定に関する法律施行令」に定められた有害物質は含まれておりません。
このように毒性的には危険性は低いのですが、飲んだり・手に触れたりはしないでください。
また、発光液の後処理を行う場合は、手袋をして行うよう心がけてください。

試料 LD50値(mg/kg) 動物
石鹸 16000mg/kg以上 マウス
クレンザー 10000mg/kg以上 ラット
固形化粧石鹸 7000mg/kg以上 ラット
合成洗剤(台所用) 6000mg/kg以上 ラット
発 光 液 5000mg/kg以上 ラット
シャンプー 5000mg/kg以上 ラット
合成洗剤(衣料用) 4000mg/kg以上 ラット
食塩 3750mg/kg以上 ラット
ふくらし粉 3000mg/kg以上 ラット

※LD50値とは、実験動物群の50%を致死させるのに、動物の体重1kgあたりの被験物質の投与量で、通常体重kg当たりのmg(mg/kg)で示される。

尚、本液は毎日常用されるものではありませんので、長期(慢性)毒性の試験はしておりません。

2)引火性

発光液NEWアクアは従来の酸化液よりも引火点を高く上げるように改良、改善を行い106℃という現在市場にない高引火点酸化液の製造に成功しました。
従来の酸化液は消防法上、第4類第2石油類(引火点21℃以上70℃未満)にランクされていましたので、飛行機や船舶輸送が困難でした。
発光液NEWアクアの引火点は蛍光液が187℃、酸化液が106℃という高引火点であるために、双方とも第4類第3石油類(引火点70℃以上200℃未満)に分類され、労働安全衛生法を始め全ての法令をクリアしています。それで陸海空すべての輸送が可能となりました。
また屋内(結婚披露宴会場・レストラン等)で使用する場合も、防災上からも安心でき安全に使用することができます。しかし、炎や火気の近くでは絶対に使用しないでください。
防火管理者の方が、できるだけ安全な発光液が会場に持ち込まれるのを確認できるように、弊社は酸化液外装ホイルに下図のような対策をして出荷しています。

3)環境への影響

発光液NEWアクアは、液の主成分を従来品のフタル酸系から、食品などにも使用されるクエン酸系に切替えて、より安全に安心してご使用いただける成分にしました。。
しかし、いかなる化学物質も自然界に破棄すべきではありません。
次の世代を守るためにも、弊社が提供している廃液吸着袋で廃液回収し可燃物処理での廃棄にご協力ください。絶対に下水等には捨てないでください。

4)家具等への液付着による影響

家具等の材料によっては溶かしたり、シミになる恐れがあります。液の飛散や付着が無いよう十分注意してください。
万一付着させた場合はできるだけ早急に布やティッシュペーパー等ですみやかに良く拭き取ってください。放置するとシミになる恐れがあります。

5)衣類等への液付着による影響

上記4)項と同じ作用があり、材質によっては溶ける恐れもあります。
万一付着させた場合は、「服や床に付着した場合」の対処方法に従ってください。
最近ではほぼ完全に除去する技術が開発されましたので、「シミの除去について」を参照してください。


発光液の流通および保管・使用上の注意

1)発光液NEWアクアは工場出荷時ポリ容器入りで、蛍光液・酸化液ともにアルミホイルで包装されています。容器の蓋はキャッパーマシンでしっかりと閉めておりますが、液を輸送する必要がある場合には、蓋が上になるように箱詰めして「天地無用」のシールを貼ってください。

2)一旦アルミ包装を開封しますと、例えば容器の蓋がしっかりと閉めてありましても、蓋の隙間から湿気にさらされ液の劣化が進みます。
特に蛍光液の場合、開封した液は24時間以内に使用してください。
どうしても開封後に一時保管をする必要が有る場合には、容器の蓋をしっかり閉め、乾燥剤と共にホイルに戻し、ホイルの開封部をしっかりとテープで止め、できるだけ早く再使用してください。
但し、再使用の場合は添付したカップに少量の蛍光液と酸化液を注ぎ、発光を確認してください。
再使用の場合は、弊社では発光力の保証はいたしません

3)発光液NEWアクアは一度開封すると24時間以内に使用してしまうのが原則です。
その為に小分けした多種の発光液セットをご用意しています。
本番で安心して使用するためにも、使用容量に適した小分けセットのご利用をお勧めします。

4)他の容器に詰め替えて保管することはしないでください。
上記理由もさることながら、容器内に水滴が付いていたり、酸化の原因となるような埃が残っていますと液が急速に劣化します。
他の容器に詰め替えて保管するもう一つの問題点は、他の液と間違えられる危険があることです。例えば、デカンタやグラスに入れてありますと、冷酒やワインと間違えられる可能性があります。誤飲などがありますと実際に危害があるかどうかは別として、その対応や後始末に多大な時間を要し、また関係者の方々にも多大なご迷惑をかけることになります。

5)常温で乾燥した場所に保管することを徹底してください。
直射日光の当たる場所では液温が異常に高くなる場合があります。
また、寒冷地の屋外や冷蔵庫で保管をしますと、室内に持ち込んだ時に内部に結露し、水分が液に混ざる可能性があります。これらも発光不良の原因となりますので、お気を付けください。

6)発光液NEWアクアは蛍光液も酸化液も容器の蓋に製造年月日が刻印されています。
出荷時の状態で上記保管上の注意の下では、1年間程度は演出に必要な発光効果を保持しています。
しかし、医薬品と同様あまり古くならないよう、常に新しい発光液をご使用ください。
弊社が有効期限を製造年月日より6ヶ月とお知らせしているのは、古い製造月から使用して頂き、できれば常に新しい発光液を調達して欲しいからです。
弊社では発光液は生物と考え厳重に品質管理をしています。
発光液NEWアクアは全て弊社及び弊社関連工場で生産している純国産品です。

7)発光液は出荷時には厳重に品質テストをしております。また大ロットで生産していますので、開封後、1セットのみが発光しなかったとは殆ど考えられません。もし発光しなかったとすれば、開封後24時間以上経過した残液ではなかったか、残液と他の残液を混入した液ではなかったか等々、保管・使用上の問題等を再度確認してください。

発光液及び弊社取扱商品は365日出荷しています。またお問い合わせや緊急時の対応は365日(9:00~20:00)受け付けていますのでご遠慮なくお申し付けください。


発光液の取扱い上の注意

1)発光液の演出を採用して頂くにあたり、蛍光液や混合後の液をこぼした場合、蛍光液中の蛍光染料に起因するシミが付くリスクがあります。
また、蛍光液・酸化液共に相手の布・衣服・カーペット・床材等の素材によっては素材を溶かしてしまう場合があり、素材の変形や硬化の可能性があります。
シミになる可能性があることが解かっている液を使用する訳ですので、製品上の欠陥ではなく、メーカーとしてのPL保険の対象とはならないとお考えください
最近の技術では後述の如くほぼ完全に除去することもできますが、素材が溶ける場合はどうすることもできませんので飛散防止に十分配慮してください。

2)発光液は飲む為の物質ではありません。
通常の使用において、毒性は低いので心配はありませんが、事故を防ぐ注意は十分に促すべきです。
結婚式場の場合には、従業員の方々にもお客様の誤飲が無いように注意して頂くと共に、司会者等を通じて、「飲んだりしないように」との注意をしてもらってください。

3)前節でも再三触れています通り、発光液はその取扱いが非常にデリケートな素材です。その特性を十分に理解した上で、演出容器の選定・液温の管理等をしてください。
例えば、液を輸送してきた箱を冬場の屋外に置き忘れていたような場合、室内に持ち込んでも、2~3時間では室温に戻りません。
使用開始までに十分な時間が無いような場合には、暖房の近くにしばらく置いておくような工夫が必要な場合もあります。
また、本番の前に液を少量スポイト等で取り、発光の予備テストを必ず行ってください
(1リットルセットには使い捨て手袋・タオル・テスト用カップを付属しています。)

4)演出後の発光液(廃液)は、「廃液吸着袋」に流し込み、袋上部を結んで可燃物として廃棄してください。吸着材は環境に優しい天然繊維を使用しています。
袋を強く押すと、吸着した廃液が流れだしたり、袋が破損して漏れたりしますのでご注意ください。
発光液(廃液)は下水や流し等には絶対に捨てないでください

5)その他、演出上の注意点やテクニックに関しましては、弊社又は販売店にご相談ください。

万が一の事故の際の対処方法

1)液が眼に入ったり、皮膚に付いた場合

発光液NEWアクアのPh値はほぼ中性ですので心配はありませんが微量の過酸化水素を含むため、眼に入りますと石鹸水が入った時のような強い刺激があります。
また皮膚に付いた場合は、従来の発光液のような刺激を感じることはありませんが、べたつき感があります。
従来の酸化液が単体で付着した場合には、特に刺激が強かったのですが、今回開発した発光液NEWアクアは刺激が殆んどありません。
眼に入った場合には、清水で15分間以上十分に洗浄してください。また皮膚に付着した場合にも、清水または石鹸で洗い流してください。
痛みや違和感が残る場合は、医師の診断を受けてください。

2)誤飲をされた場合

口に入った場合には、刺激性がありますので多量に飲み込む事は無いと思われますが、例え液をシャンパングラスに1杯程度飲み込んだとしても、身体に影響はありません。
対処方法は、口に含んだだけでしたら口を清水で濯ぐだけで大丈夫です。
口の中の刺激が継続するような場合や本当に液を飲み込んでいた場合には、口を清水で濯ぐだけで何も飲ませずに医師の診断を受けてください。
多量に飲んだと思われる場合には胃の洗浄をしてもらってください。
その場合には発光液の成分表を提示してください。
発光液NEWアクアのボトル・外装ホイルにも成分は表示されています。
何を飲んだのかが判りませんと医師も洗浄の必要性や洗浄方法の選択の判断ができません。
医師に成分表を見てもらえば、危険性が低い事は直ぐに理解して頂けます。

3)服や床に付着した場合

服や床の材料によっては溶かしたり、シミになる恐れがあります。
また、成分中の蛍光染料もブルーやグリーンのように発光後徐々に無色または薄くなるものと、レッドを含む色(レッド・ピンク・オレンジ・パープル等)のように色が残るものがあります。
発光液の色と付着した物の素材によって対処方法も変わってきます。
対処方法は、何れの色や素材の場合でも、まず最初に吸水性の良い紙(ティッシュペーパー等)か布で素早く拭き取り、石鹸で洗い落としてみてください。
石鹸が手元に無い場合には、取りあえず水で洗い流す事もお勧めします。
素材がスチレン樹脂・塩化ビニール・ナイロン・ポリエステル等の耐溶剤性に劣る素材の場合には素早い対応が重要です。
天然素材(木綿・羊毛等)も同様の処理が必要です。

4)シミの除去について

3)項で応急処理をしてもシミとして残った場合でも、ほぼ完全に近く除去できる技術が開発されました。花嫁衣裳に発光液が付着した場合でも、ほぼ満足して頂ける状態に復元できます。
但し、熱プレスを掛けると除去が非常に困難に成りますので、下記へご相談してください

この技術開発は、他社発光液によるシミにも同様な効果があります。
発光液演出を広める立場から公開情報と致しますので、他社発光液使用で付着させた場合もご遠慮なく下記へ相談してください。

会社名: 有限会社 佐々木クリーニング店
住 所: 〒108-0072 東京都港区白金1-12-18
TEL: 03-3446-0608

5)火災の場合

今回開発した発光液NEWアクアは高引火点のため、発光液NEWアクアに起因した火災の発生はほぼ回避できると思われます。
しかし何らかの原因で火災が発生した場合は、消火対処方法としてCO2・粉末消火剤・ハロゲン化物・耐アルコール泡等が有効です。噴霧注水は、温度を下げる意味では効果があります。